業界動向

IDCフロンティア・SpeeCAN・Communeの不正アクセス 影響を受けた企業・自治体一覧【2026年10月】委託先経由の情報漏えいまとめ

IDCフロンティア・SpeeCAN・Communeの不正アクセス 影響を受けた企業・自治体一覧【2026年10月】委託先経由の情報漏えいまとめ

2026年10月7日の午前3時40分頃、IDCフロンティアのクラウドサービス「IDCFクラウド」の一部がランサムウェア攻撃を受けて止まりました。同社が公表した影響範囲は「495の企業や自治体」です。2日後の10月9日には、このクラウド上のメール配信サービスを使っていた会社が、メールアドレスなどの漏えいの可能性を相次いで公表しました。ビューカードは約403万件、Peachは約189万件、JR東日本はえきねっと会員だけで最大約167万件、JR九州は最大約130万件です。

その後、IDCフロンティアは10月14日の第5報で「外部へのデータの流出はなかったと判断」しました。これを受けて、ビューカード・JR東日本・JR九州・JR東海などが10月15日から16日にかけて、漏えいはなかった、または漏えいの事実は確認されなかったとする続報を出しています(第2章で一覧にしています)。

同じ週には、ほかに2つのサービスで不正アクセスが公表されました。10月9日はコミュニティサービス「Commune」(第一報で約30.7万人、10月21日の続報で延べ16万6,505人)、10月13日は自治体の防災メールなどに使われる一斉配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」(メールアドレス最大約3,136,000件)です。その直前の10月6日には、問い合わせ管理システム「i-ask」の運営会社が、利用企業最大5社の情報流出の可能性を公表しています。さらに10月19日には、メール配信サービス「Cuenote FC」を運営するユミルリンクが、専用ASPプランの5システムからメールアドレスを含む情報が延べ約900万件出力されたと試算し、公表しました。どの事案も、利用する企業・自治体が自社名で個別に公表しているため、ニュースでは別々の事件のように見えます。

本記事では、この5つのサービスの事案ごとに、影響を公表した企業・自治体を一覧にまとめます。あわせて、自分の情報が含まれているかの確かめ方と、委託先やクラウドに個人情報を預けている企業が見直すべき点を解説します。

※本記事の事実関係は2026年10月14日時点の各社・各団体の公表資料に基づきます。IDCFクラウドの事案は、10月19日時点の続報(IDCフロンティアの第5報・第6報と、利用企業の続報)を反映しました。Cuenote FCの事案と、SpeeCAN RAIDEN・Communeの続報は、10月22日時点の公表資料に基づきます。件数は公表文の表現(最大・約・可能性)のまま記載し、別々の組織の件数は合算していません。報道のみで公式資料にない情報は使っていません。攻撃者の名称は記載していません。

1. 全体像:5つのサービスで何が起きたか

5つの事案を、運営会社の公表に基づいて並べます。

サービス(運営会社)

発生・検知

運営会社の公表

影響範囲(運営会社の公表)

i-ask(スカラコミュニケーションズ)

10月2日20時30分頃〜3日8時頃に管理サイトへ不正ログイン

10月6日

利用企業最大5社、最大713,126件(問い合わせ単位の延べ件数)

Commune/Commune for Work(コミューン)

10月5日18時ごろから不正アクセス、6日に検知

10月9日(第一報)、10月21日(続報)

漏えいした会員 約30.7万人(第一報の推計)。10月21日の続報で16万6,505人(延べ人数)と確認

IDCFクラウド(IDCフロンティア)

10月7日午前3時40分頃、ランサムウェア攻撃で仮想サーバーが停止

10月7日(第1報)〜10月18日(第6報)

495の企業や自治体。10月14日の第5報で「外部へのデータの流出はなかったと判断」

SpeeCAN RAIDEN・ライデン・スクール(アルカディア)

10月11日16時30分に不審な挙動を確認

10月13日

最大でメールアドレス約3,136,000件・電話番号約105,000件・FAX番号約15,000件(推定値)

Cuenote FC(ユミルリンク)

10月16日未明に一部システムへの不正アクセスを確認

10月19日

専用ASPプランの5システム。メールアドレスを含む情報 延べ約900万件が出力されたと試算

5件とも、侵害されたのは利用企業の自社システムではなく、データを預けていたサービスの側です。それでも、個人情報の漏えいを報告し、本人に知らせる立場にあるのは利用企業です。このため、1つの事案から数十〜数百の公表が生まれています。

2. IDCFクラウドのランサムウェア:影響を公表した企業・自治体

IDCフロンティアによると、2026年10月7日午前3時40分頃、IDCFクラウドの東日本リージョン1の一部(teslaゾーン・henryゾーン・pascalゾーン・jouleゾーン)で仮想サーバーが停止し、再起動できなくなりました。同日夜の第2報で原因をランサムウェア攻撃と公表しています。10月8日の第3報では、影響範囲を「IDCFクラウドをご契約いただきご利用中の495の企業や自治体」としています。第3報の時点では、4つのゾーンに保管された顧客データは「取り出しや復元が困難な見通し」としていました。侵入経路は調査中です。

10月14日の第5報で、IDCフロンティアは仮想サーバー内のデータが照会されたり外部へ持ち出されたりした痕跡は確認されなかったとして、「外部へのデータの流出はなかったと判断」しました。スナップショット機能を使っていた194の顧客については、バックアップデータを取り出せることを確認しています。一方で、契約者向けの管理ポータルでは、48社の登録情報(契約企業名、ログインID、ハッシュ化されたパスワード、企業のメールアドレス、月額料金)に不正な照会があったことも確認しています。10月18日の第6報では、バックアップサービスの提供を再開しました(スナップショット機能は安全性の確認のため停止が続いています)。

利用企業の公表のうち、件数や漏えいの可能性がある情報を示した主なものは次のとおりです。

組織(公表日)

対象

件数(公表文の表現)

漏えいした可能性がある情報

ビューカード(10月9日)

会員サイト「VIEW's NET」の登録者

約403万件

メールアドレス。氏名・住所・電話番号・カード番号は漏えいの可能性なし

Peach Aviation(10月9日)

メール配信システム

約189万件

メールアドレス、氏名(アルファベット表記)、電話番号、予約番号、旅程内容。現時点で外部流出は確認されていない

JR東日本(10月9日)

えきねっと会員(ビジネスえきねっと会員を除く)

最大 約167万件

電子メールアドレス

JR東日本(10月9日)

大人の休日倶楽部会員

最大 約39万件

電子メールアドレス、会員番号、クレジットカード有効期限、生年月日

JR九州(10月9日)

JR九州Web会員

最大 約130万件

電子メールアドレス。氏名・住所・カード番号やメールマガジンの本文は漏えいの可能性なし

NTT ExCパートナー(10月13日)

学習管理システム「LStep」のメール配信

最大 約9万件

電子メールアドレスのみ

JR東海(10月13日)

ECサイト「JR東海MARKET」「いいもの探訪」

約15,000件(両サイト合計)

配信先のメールアドレスと、配信したメール本文に書かれた氏名・住所・電話番号・注文内容・配送先など

東武レジャー企画・東武動物公園(10月12日)

問い合わせフォーム(2026年3月以降の利用分)

最大 約600件程度

氏名、年齢、性別、電話番号、メールアドレス、添付画像など

スカパーJSAT(10月13日)

スカパー!メンバーズ会員

記載なし

メールアドレス

このほか、高島屋(メールマガジン配信業務の委託先がIDCFクラウドを利用。メールマガジンを停止)や千代田区(日比谷カレッジのメールマガジン)なども公表しています。日水物流(ニッスイのグループ会社)は入出荷業務が止まりましたが、被害を受けたサーバーに個人情報や顧客情報は含まれないとしています。

表を見ると、漏えいの可能性がある情報の多くは会員向けのメール配信に使うデータです。ビューカード・JR東日本・JR東海・NTT ExCパートナーは、いずれも自社が直接IDCFクラウドを使っていたのではなく、メール配信を担う外部事業者がIDCFクラウドを使っていたと説明しています。利用企業から見ると「委託先のさらに先」で起きた事故です。

10月14日以降の続報:多くの企業が「漏えいはなかった」と公表

IDCフロンティアの第5報を受けて、上の表の企業の多くが続報を出しています。判断の表現は企業ごとに異なるため、公表文の表現のまま並べます(2026年10月19日時点)。

組織(続報の日付)

続報の内容(公表文の表現)

ビューカード(10月15日)

メール配信用外部サービス会社から、VIEW's NET登録会員のメールアドレスの「漏えいがなかったと判断したとの報告を受けて」いる。10月20日から、viewcard@idinfo.jreast.co.jp からお詫びメールを順次送信

JR東日本(10月15日)

えきねっと会員・大人の休日倶楽部会員の個人情報について、外部サービス会社から「漏えいがなかったと判断したとの報告を受けて」いる

JR九州(10月15日)

IDCフロンティアの調査結果に基づき「漏えいの事実は確認されませんでした」。その旨の電子メールを順次送信。メールマガジンは停止が続いている

JR東海(10月15日)

JR東海MARKET・いいもの探訪について「個人情報の漏えいの事実は確認されなかった」旨の報告を受けている

NTT ExCパートナー(10月15日)

「当該情報の流出を示す事実は確認できませんでした」。現時点でメールアドレスの漏えいを示す事実はないと判断

高島屋(10月15日)

外部への流出を示す事実は確認されず、「お客様情報の流出はなかった旨の報告を受けて」いる。メールマガジンの再開時期は未定

東武レジャー企画・東武動物公園(10月16日)

問い合わせフォームで入力された個人情報について「漏えいはなかったものと判断」。ホームページの閲覧障害は続いている

スカパーJSAT(10月16日)

メールアドレスの「閲覧、漏えいはなかったとの結論に至りました」

日水物流(10月14日 第3報)

被害を受けたサーバーに、ニッスイグループが管理する個人情報や顧客情報は含まれていない

Peach Aviation・千代田区

10月19日時点で続報なし。初報の時点で、外部流出または個人情報の流出は確認されていないとしている

表のとおり、「漏えいはなかった」とする判断の多くは、メール配信を担う外部事業者やIDCフロンティアからの報告に基づくものです。各社が自社で調査した結果とは限らない点に注意してください。なお、10月19日に公表されたメール配信サービス「Cuenote FC」(ユミルリンク)への不正アクセスは、IDCFクラウドとは別の事案です。第6章で扱います。

宅配の「銀のさら」などを運営するライドオンエクスプレスホールディングスも、10月にシステム障害と最大約650万件の漏えいの可能性を公表しています。ただし公表文は原因を「サーバーの運営会社」とし、社名を記載していません。不正アクセスの検知も10月5日以降としているため、本記事ではIDCFクラウドの事案に含めていません。

3. SpeeCAN RAIDEN:自治体の防災メールと学校の連絡網

アルカディアによると、一斉配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」で10月11日16時30分に不正アクセスが疑われる挙動を確認し、12日3時ごろに侵入経路を塞ぐ応急措置をとりました。13日には侵入経路が判明したとして、raiden3.ktaiwork.jp(SpeeCAN RAIDEN)とs2.ktaiwork.jp(ライデン・スクール)を緊急停止しています。侵入経路の中身は、10月19日の続報で公表されました(この章の最後にまとめています)。

漏えいした可能性がある項目は、連絡先の名前、メールアドレス、電話・FAX番号、履歴として保存されている配信本文の内容です。最大件数はメールアドレス約3,136,000件、電話番号約105,000件、FAX番号約15,000件で、同社は推定値としています。

このサービスは、自治体の防災メール・防犯メールや職員の参集連絡、学校から保護者への一斉連絡に使われていました。10月13日以降、多くの自治体が自団体の登録者数を公表しています。件数を示した主な自治体は次のとおりです(自治体ごとの数字は合算できません)。

自治体

対象と件数(公表文の表現)

横須賀市

防災メール 47,065人、防犯メール 10,848人、FAX配信 996人、電話配信 11人。4サービスを停止し、登録者に不審な迷惑メールが届いていることを確認

宮崎県

38,959件

さいたま市

防災行政無線メール 34,783件ほか

大分県

27,667件

香川県

防災情報メール 約25,566件ほか

綾瀬市

11,053名

岡山市

防災メール 約4,500件、職員 約5,000件ほか

東海市

1,210件(職員・医療従事者等)

学校関連では、横手市が小中学校から保護者への連絡と学童保育の一斉連絡が止まったと公表しています。湖南市は、学校・保育施設の登録者については所属する学校・園の名前も漏えいの対象になる可能性があるとしています。

アルカディアはその後も公式ブログなどで続報を出しています。主なものは次のとおりです(2026年10月22日時点)。

続報の日付

内容(公表文の表現)

10月16日(第11報)

消防向けのNET119と119RAIDENでも、第三者による不正アクセスで個人情報が漏洩した可能性を確認。NET119は「9,020件のメールアドレスに紐づく」名前・生年月日・住所などで、要配慮個人情報は漏洩していないことを確認。119RAIDENはメールアドレス約97000件・電話番号約17000件・FAX番号約400件

10月19日(経過の説明資料)

添付ファイルを公開するメディアサーバーにディレクトリパストラバーサル(内部のファイルにアクセスできてしまう不具合)があり、内部のソースファイルから設定ファイル内の「サービス間ログイン用シークレットキー」が取得された。そのキーを使ってアカウントIDへの総当たり攻撃が行われ、ログインされたセッションから内部情報が取得された

10月21日(第17報)

10月13日1時17分から7時16分まで、不正なプログラムによって同社のシステムから外部にメールが配信された。内容はフィッシング詐欺で、配信総数は1,423,428通。うち少なくとも869,575通は「当社内に保有するメールアドレスへの配信ではない」

4. Commune:招待リンクの悪用で延べ16万6,505人

コミューンによると、2026年10月5日18時ごろから、コミュニティサービス「Commune」「Commune for Work」が不正アクセスを受けました。会員情報が漏えいしたのは、10月5日18時ごろから10月6日21時ごろまでと、10月7日13時17分から14時36分までの間です。7日の漏えいは、全コミュニティを止めたメンテナンス中に残っていた通信経路が使われたものでした。

手口について同社は、非公開コミュニティの招待リンクを不正に取得して一般会員として登録し、管理者になりすまして会員情報の閲覧・取得やデータの上書きを行ったと説明しています。第一報(10月9日)では、漏えいした会員を約30.7万人(推計)としていました。このうちメールアドレスを含む情報が漏れたのが約12.6万人で、同社の従業員とテスト用アカウントが合計約4.2万人含まれます。残る約18.1万人は、表示名・自己紹介・非公開グループの所属など、メールアドレスを含まない情報です。144名はパスワードを本人の操作によらず仮パスワードに変更されましたが、パスワードそのものの漏えいは確認されていないとしています。

コミューンは10月21日の続報で、詳細な調査の結果、漏えいの対象となった会員数は「16万6,505人」だったと公表しました。第一報の約30.7万人は可能性のある最大件数で、16万6,505人は会員IDをコミュニティごとに数えた延べ人数です。このうちメールアドレスを含む情報が漏えいしたのは「12万5,601人」です。同社は全コミュニティのデータベースを10月6日18時時点の状態に戻し、10月16日から、要望のあった契約企業から順に、一部の機能を制限してサービスを再開しています。

同社は、本件は契約企業の設定や運用に起因するものではないと明記しています。それでも、コミュニティを運営していた企業・団体が自社の会員数を公表しています。件数を示した主なものは次のとおりです。

組織(公表日)

件数(公表文の表現)

Sansan(10月9日)

漏えいが確定 1,325名、可能性 8,687名

スズキ(10月9日)

約3,000名

VALX(10月8日)・青森県(10月8日)・日本能率協会マネジメントセンター(10月9日)

各2,950名(人)

湖池屋(10月9日)

最大1,800件

LINEヤフー(10月9日)

1,750名

ヤマハ(10月9日)・ヤマハ発動機(10月12日)

各 約1,600名

ユニファ(10月9日)

1,450名

ウイングアーク1st(10月8日)

約1,200名

ソフトブレーン(10月9日)

1,164名

森永乳業(10月9日)

291名

5. i-ask:問い合わせ窓口のFAQシステム

スカラコミュニケーションズによると、2026年10月2日20時30分頃から3日8時頃にかけて、第三者が問い合わせ管理システム「i-ask」の管理サイトに不正にログインし、不正なプログラムを設置しました。同じサーバー上で動いていた利用企業(最大5社)のデータベースから問い合わせ情報が取得された可能性があり、件数は最大713,126件(問い合わせ単位の延べ件数)です。データベースの監視アラートをきっかけに調査を始め、3日8時頃に遮断しています。

組織(公表日)

件数と主な内容(公表文の表現)

大和証券(10月5日)

約11万名の氏名・メールアドレス・口座番号など。個人を特定できない問い合わせを合わせて約22万件

シチズン時計(10月6日)

約10万名分の氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど

損害保険ジャパン(10月7日)

問い合わせ単位の延べ件数 約6万件

オリックス生命(10月8日)

約26,500件。氏名・生年月日・住所・電話番号・メールアドレス・証券番号・問い合わせ内容

東武鉄道(10月7日)

i-askを利用。運営会社によれば、同社関連の情報の閲覧・取得の形跡は現時点で確認されていない

金融機関への影響と、2026年に公表されたほかの金融機関の事例は金融機関のサイバー攻撃事例【2026年版】アフラック・阿波銀行・証券口座乗っ取りなど被害の実態と対策で整理しています。

6. Cuenote FC(ユミルリンク):メール配信サービスの専用ASP

ユミルリンクによると、2026年10月16日未明、同社のメール配信サービス「Cuenote FC」の一部システムで不正アクセスが起きていることを担当者が確認しました。アクセス記録からは、プログラムの脆弱性を突いて同社のサポート・品質管理担当者のサービスへの認証情報が取得されたこと、不正プログラムが設置されてデータベースからデータが出力されたこと、その認証情報で他のシステムへの認証が試みられたことが分かっています。脆弱性の中身は公表されていません。

不正アクセスとデータの出力が確認されたのは、Cuenote FCの専用ASPプランのうち合計5システムです。同社は、5システムでメールアドレスを含む情報が延べ約900万件出力されたと試算しています。出力されたデータの詳細は調査中です。同社は不正アクセスを確認したサーバーをネットワークから切り離し、脆弱性を修正し、他システムからサポート・品質管理担当者の情報を削除したうえで、捜査機関に届け出ています。あわせて、Cuenote FCの管理画面とAPIには、登録した接続元IPアドレスからしか接続できないようにしました。10月22日時点で、5システムの利用企業名と件数の内訳は公表されていません。

10月19日以降、Cuenote FCなどユミルリンクのサービスを使う企業・自治体が、自社・自団体への影響を公表しています。影響の有無の判断は組織ごとに異なるため、公表文の表現のまま並べます(2026年10月22日時点)。

公表日

組織

影響の内容(公表文の表現)

公表元

10月19日(第2報)〜21日(第4報)

山陽新聞社

ニュース速報・気象情報などのメール配信を10月18日午後から停止。10月20日の第3報で、ユミルリンクから「当社が利用している環境では情報漏えいは確認されていない」との連絡を受けたと公表。21日に配信を再開

山陽新聞社 お知らせ(第2報〜第4報)

10月20日

埼玉県

県のサイト「ぷらっとさいたま -スマート農業導入ナビ-」の管理運営を委託するナレッジクライマーが使うメールマガジンシステム(ユミルリンク)を通じて、669者の法人名・担当者名・メールアドレス・業種などが「流出した可能性」。不正利用は確認されていない

埼玉県 報道発表資料

10月20日

NTTPCコミュニケーションズ

各種サービスのメール配信に使用。顧客の情報への影響は確認できていないが「影響の可能性を完全には否定できない」として、連絡先メールアドレス等の漏えいの可能性を公表

NTTPC インフォメーション

10月20日

カクヤス

飲食店向けメールマガジンに登録した飲食店名・社名・氏名・メールアドレスが対象となる可能性。被害対象に含まれるとの情報は「確認できていません」

カクヤス お知らせ

10月20日

かたばみ

同サービスに登録している情報について「影響を受けた可能性を否定できない」

かたばみ ニュース

10月20日

大江町(山形県)

「大江町登録制メール」の登録者約380人、消防関係者約250人、職員約120人の連絡先が漏えいした可能性があるとの報告を受けたと公表。同日11時の追記で「個人情報および機密情報の流出は確認されなかった」

大江町 お知らせ

10月20日

小川町(埼玉県)

「おがわ情報メール」の登録者情報は「漏えいは確認されていません」。安全確認のため配信を当面停止

小川町 お知らせ

10月20日

嵐山町(埼玉県)

「嵐山町あんしんメール」について、20日10時時点で町の個人情報の漏えいは確認されていないが、配信を当面停止

嵐山町 お知らせ

10月21日

大日本印刷(honto)

「honto」のメールマガジン配信を許諾している顧客の氏名・メールアドレス・システム内部の識別番号が漏えいした可能性。件数は調査中。パスワード・クレジットカード情報・購入履歴はメール配信システムに保有していない

大日本印刷 お知らせ(honto)

10月21日

大洲市(愛媛県)

停止していた「大洲市災害情報メール」「不審者情報メール」の配信を再開。本件に係る情報漏えいは「確認されておりません」

大洲市 お知らせ

山陽新聞社や大洲市などは、ユミルリンクからの連絡を受けて「漏えいは確認されていない」としています。一方、大日本印刷と埼玉県は漏えい・流出の可能性があるとしています。ユミルリンクは対象5システムの利用企業名を公表していないため、この表に載っているのは自ら公表した組織だけです。

7. 自分の情報が含まれているか確かめる方法

各社は、対象となる可能性がある人に個別にメールや書面で連絡すると公表しています。IDCFクラウドの事案では、ビューカードが10月20日から viewcard@idinfo.jreast.co.jp からお詫びメールを順次送り、JR九州は漏えいの事実は確認されなかった旨のメールを順次送るとしています。送信元のアドレスは各社の公式サイトの告知で確かめてください。会員になっているサービスや、防災メールに登録している自治体の公表ページで、対象サービスと期間を確認してください。

今回漏れた可能性がある情報は、メールアドレスが中心です。メールアドレスが漏れると、その宛先に偽のメールが届きやすくなります。横須賀市は、登録者に不審な迷惑メールがすでに届いていることを確認し、市やサービス提供事業者を装って個人情報の入力を求めるメールに注意するよう呼びかけています。お詫びや補償を名乗るメールが届いても、メール内のリンクは開かず、公式サイトを自分で開いて確かめてください。偽メールの見分け方はフィッシングメール対策【2026年版】見分け方・被害事例・企業の防御策で解説しています。

Communeで仮パスワードに変更された144名は、ログイン画面からパスワードを再設定する必要があります。同じパスワードをほかのサービスでも使っている場合は、そちらも変更しておくと安全です。

Cuenote FCの事案では、メールマガジンや防災・行政情報メールを送っている企業・自治体が、それぞれお知らせを出しています。NTTPCコミュニケーションズ・カクヤス・大日本印刷(honto)などは、送信元に心当たりのないメールや自社を装ったメールのURLを開かないよう呼びかけています。ユミルリンクは不正アクセス専用の問い合わせ窓口(電話 03-6820-0088、平日9時〜20時/メール support@cuenote.ne.jp)を設けています。

8. 5つの事案に共通する点

共通点1:1つのサービスの侵害が、数百の組織の公表に広がる

IDCFクラウドの影響範囲は495の企業や自治体、SpeeCAN RAIDENも多くの自治体と学校に及びました。利用企業は自社のシステムに問題がなくても、預けたデータが漏れた可能性があれば公表と本人への連絡を担います。共通の基盤を使うほど、1件の侵害が多くの組織の事故になります。Cuenote FCでも、ユミルリンクの公表直後から、新聞社や県・町、企業が自社・自団体への影響を相次いで公表しています。

共通点2:漏えいの可能性は主にメールアドレスでも、件数は百万件単位になる

メール配信のためのデータは、会員全員分のメールアドレスを1か所に集めて持っています。ビューカードの約403万件、Peachの約189万件、JR東日本の最大約167万件はいずれもメール配信に使うデータでした。メール配信サービスそのものが侵害されたCuenote FCでは、5システムからメールアドレスを含む情報が延べ約900万件出力されたと試算されています。氏名やカード番号を含まなくても、件数の大きさと偽メールへの悪用で影響は大きくなります。IDCFクラウドの事案では、その後多くの企業が漏えいはなかったと続報しましたが、確定までの約1週間は、数百万人規模の会員が「自分の情報が漏れたかもしれない」状態に置かれました。

共通点3:委託先の「さらに先」が入口になる

JR東日本・ビューカード・JR東海・NTT ExCパートナーは、メール配信を外部事業者に任せ、その事業者がIDCFクラウドを使っていました。高島屋もメールマガジン配信の委託先が利用するクラウド基盤と説明しています。委託先を管理していても、その委託先が使う基盤まで把握していなければ、事故が起きるまで自社の情報がどこにあるか分かりません。Cuenote FCの事案でも、埼玉県はサイトの管理運営を委託した事業者が使うメールマガジンシステムがユミルリンクのものだったと説明しています。

共通点4:預けたデータは返ってこないことがある

IDCフロンティアは第3報の時点で、4つのゾーンに保管された顧客データは取り出しや復元が困難な見通しとしていました。第5報でバックアップを取り出せると確認されたのは、スナップショット機能を使っていた194の顧客です。Peachは代替サーバーに切り替え、遅れていた旅程表メールを10月8日から順次送信しました。JR東海も別の環境でのメール配信に切り替えています。委託先が止まったときに、自社で切り替え先とデータの写しを持っているかで、再開までの時間が変わります。

9. 政府・関係機関の注意喚起と、企業が見直すこと

10月7日から9日にかけて、政府と関係機関が相次いで注意喚起を出しました。

公表日

機関

内容

10月7日

個人情報保護委員会

「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」

10月8日(9日更新)

JPCERT/CC

「直近で相次いでいる国内組織における不正アクセスに関する注意喚起」。手口として、既知の脆弱性の探索(ケースA)、API経由での不正な操作(ケースB)、MetabaseのSQLインジェクションの脆弱性 CVE-2026-72898(ケースC)、Webシェルの設置(ケースD)を挙げ、すべての事案で同じ手口とは限らないとしている

10月9日

国家サイバー統括室

「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた対応について」。委託先を含むサプライチェーン全体での安全確保、多要素認証、ログの取得・保管などを求める

10月9日

総務省・経済産業省・IPA・金融庁

それぞれの所管分野に向けた注意喚起。金融庁は本人確認書類の画像の漏えいを受け、非対面の本人確認の手口の巧妙化にも言及

今回の5事案と、国家サイバー統括室が示した項目をもとに、個人情報を外部サービスに預けている企業が見直す点を優先順に挙げます。

  1. 委託先と「その先」の一覧を作る:個人情報を預けている外部サービスごとに、そのサービスが使うクラウドや再委託先、責任の分担を確認します。国家サイバー統括室も、委託先の情報セキュリティ方針や役割分担・責任分界の確認を挙げています。
  2. 預けるデータを減らす:JR東海の事案では、配信したメールの本文に氏名・住所・注文内容が残っていました。配信に必要な項目だけを渡し、送信済みの本文や古い履歴を委託先に残さない設定にします。
  3. 管理画面の認証を固める:i-askは管理サイトへの不正ログイン、Communeは管理者へのなりすましが起点でした。Cuenote FCでは、運営会社のサポート・品質管理担当者の認証情報が取得されています。委託先の管理画面にも多要素認証を求め、管理者アカウントを必要最小限にします。
  4. 公開サーバーとAPIを点検する:JPCERT/CCの4つのケースをもとに、既知の脆弱性、アプリから使うAPIの認証、Webシェルの有無を確認します。
  5. 止まったときの切り替え先とデータの写しを持つ:メール配信のように止まると困る業務は、代わりの配信手段と、自社で持つデータの写しを用意しておきます。
  6. 委託先から報告を受けてからの公表手順を決める:誰が対象者を特定し、いつ個人情報保護委員会に報告し、どの経路で本人に知らせるかを、委託先の事故を前提に決めておきます。

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10. よくある質問(FAQ)

Q. IDCFクラウドを使っていた会社は、すべて個人情報が漏えいしたのですか?

A. いいえ。IDCフロンティアは10月14日の第5報で、仮想サーバー内のデータの照会や外部への持ち出しの痕跡は確認されず、「外部へのデータの流出はなかったと判断」しています。これを受けて、ビューカード・JR東日本・JR九州・JR東海・NTT ExCパートナー・高島屋・東武レジャー企画・スカパーJSATが、漏えいはなかった、または漏えいの事実は確認されなかったとする続報を出しました(10月19日時点)。ただし、その多くは委託先やIDCフロンティアからの報告に基づく判断です。自分が使うサービスの最新の公表を確認してください。

Q. Cuenote FCの件で、自分の情報は漏れたのですか?

A. 2026年10月22日時点では、個人ごとには分かりません。ユミルリンクは、専用ASPプランの5システムからメールアドレスを含む情報が延べ約900万件出力されたと試算していますが、5システムの利用企業名と内訳は公表していません。利用企業の判断も分かれており、大日本印刷(honto)や埼玉県は漏えい・流出の可能性があるとし、山陽新聞社や大洲市は漏えいは確認されていないとしています。メールマガジンなどを受け取っているサービスのお知らせを確認し、不明な点はそのサービスか、ユミルリンクの専用窓口に問い合わせてください。

Q. 防災メールに登録しています。何をすればよいですか?

A. 登録している自治体のWebサイトで、対象かどうかと配信の再開予定を確認してください。配信が止まっている間は、自治体のWebサイトやテレビ・ラジオなど別の手段で防災情報を受け取る必要があります。自治体や配信事業者を名乗って個人情報の入力を求めるメールには応じないでください。

Q. 委託先の事故なのに、なぜ利用企業が公表するのですか?

A. 個人情報保護法では、個人データの扱いを外部に委託しても、委託した事業者が監督する責任を負います。漏えいのおそれがあるときの個人情報保護委員会への報告と本人への通知も、データを預けた事業者の義務です。今回もJR東海などが、委託先の事故を受けて自社で個人情報保護委員会に報告しています。

11. 参考情報(一次情報)

  • IDCフロンティア 不正アクセスによる障害に関する公表 第1報〜第3報(2026年10月7日・8日)、第4報「不正アクセスによる障害への対応体制について」(10月9日)、第5報「不正アクセスによる障害に関する調査の進捗について」(10月14日)、第6報「バックアップサービスの提供再開について」(10月18日)
  • IDCFクラウドの利用企業の続報: ビューカード(10月15日・10月19日)、東日本旅客鉄道(10月15日)、九州旅客鉄道(10月15日)、東海旅客鉄道(10月15日)、NTT ExCパートナー 第2報(10月15日)、高島屋 第2報(10月15日)、ニッスイ 日水物流 第3報(10月14日)、東武レジャー企画(10月16日)、スカパーJSAT(10月16日)
  • アルカディア SpeeCAN RAIDENへの不正アクセスによる個人情報漏洩の可能性について(2026年10月13日)、不正アクセスに伴う一部サービスの緊急停止について(10月13日)、SpeeCAN RAIDEN公式ブログ 第11報(10月16日)・第17報(10月21日)、不正アクセスの経過と当社の対処について(10月19日)
  • コミューン CommuneおよびCommune for Workへの不正アクセスに関する公表(2026年10月9日)、当社サービスの一部コミュニティの再開に関するお知らせ(10月16日)、【続報】当社サービスへの不正アクセスについて(10月21日)
  • スカラコミュニケーションズ i-askへの不正アクセスに関する公表(2026年10月6日)
  • ユミルリンク「当社システムへの不正なアクセスに関するご報告(第一報 2026年10月19日 19:05更新版)」(2026年10月19日。同日に適時開示)、「Cuenote ASPサービス 不正なアクセスに関するご報告(サービス状況のお知らせ)」(10月19日)
  • Cuenote FCの利用企業・自治体の公表: 山陽新聞社 第2報〜第4報(10月19日〜21日)、埼玉県(10月20日)、NTTPCコミュニケーションズ(10月20日)、カクヤス(10月20日)、かたばみ(10月20日)、大江町(10月20日)、小川町(10月20日)、嵐山町(10月20日)、大日本印刷(10月21日)、大洲市(10月21日)
  • ビューカード(10月9日)、Peach Aviation(10月9日)、東日本旅客鉄道(10月9日)、九州旅客鉄道(10月9日)、高島屋(10月9日)、千代田区(10月9日)、ニッスイ 日水物流株式会社におけるシステム障害について 第2報(10月9日)、東武レジャー企画(10月12日)、NTT ExCパートナー(10月13日)、東海旅客鉄道(10月13日)、スカパーJSAT(10月13日)
  • 横須賀市・宮崎県・さいたま市・大分県・香川県・綾瀬市・岡山市・東海市・横手市・湖南市の各公表(2026年10月13日)
  • Sansan・スズキ・VALX・青森県・日本能率協会マネジメントセンター・湖池屋・LINEヤフー・ヤマハ・ヤマハ発動機・ユニファ・ウイングアーク1st・ソフトブレーン・森永乳業の各公表(2026年10月8日〜12日)
  • 大和証券(10月5日)、シチズン時計(10月6日)、損害保険ジャパン(10月7日)、東武鉄道(10月7日)、オリックス生命(10月8日)の各公表
  • ライドオンエクスプレスホールディングス 適時開示(2026年10月8日・13日)
  • 個人情報保護委員会「大規模な漏えい等事案を踏まえた対応について(注意喚起)」(2026年10月7日)
  • JPCERT/CC「直近で相次いでいる国内組織における不正アクセスに関する注意喚起」JPCERT-AT-2026-0030(2026年10月8日公開、9日更新)
  • 国家サイバー統括室「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた対応について」(2026年10月9日)、総務省・経済産業省・IPA・金融庁の注意喚起(10月9日)

AEVUSの委託先・外部サービスのセキュリティ支援

AEVUSは、外部サービスに個人情報を預けている企業に対して次の支援を提供しています。

  • ペネトレーションテスト・外部公開資産の診断:管理画面、公開API、スマートフォンアプリから使うAPIの認証を攻撃者の視点で検証し、外から入れる経路を特定します
  • ダークウェブ監視:自社の顧客や従業員のメールアドレス・認証情報が外部に出回っていないかを継続的に監視します
  • SOC・インシデント対応:不審なログインや大量のデータ取得の監視と、委託先の事故を含めた初動対応を支援します

「預けている先がどこまで広がっているか分からない」という段階からでもご相談いただけます。ペネトレーションテスト、ダークウェブ監視、SOCサービスのページをご覧いただくか、お問い合わせフォームからご連絡ください。

まとめ

  • 2026年10月、i-ask(10月6日公表)、Commune(10月9日)、IDCFクラウド(10月7日〜9日)、SpeeCAN RAIDEN(10月13日)、Cuenote FC(10月19日)と、データを預ける側のサービスで不正アクセスが続き、利用する企業・自治体の公表が相次いだ。Cuenote FCでは、専用ASPプランの5システムからメールアドレスを含む情報が延べ約900万件出力されたと試算されている
  • IDCFクラウドの影響範囲は495の企業や自治体。ビューカード約403万件、Peach約189万件、JR東日本 最大約167万件など、漏えいの可能性があるのは主にメール配信用のデータだった。10月14日にIDCフロンティアは外部へのデータの流出はなかったと判断し、ビューカード・JR東日本・JR九州なども漏えいはなかったとする続報を出した
  • SpeeCAN RAIDENは自治体の防災メールと学校の連絡網に使われ、最大でメールアドレス約3,136,000件。横須賀市では登録者に不審なメールが届いている
  • 委託先の「さらに先」の基盤が入口になり、預けたデータは取り出せないこともある。委託先と再委託先の一覧、預けるデータの削減、管理画面の多要素認証、切り替え先の用意を優先して見直す

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